中古だからって諦めない! 憧れの最新装備をリフォームで実現
物件検討時に新築のモデルルームで見た憧れの最新設備。特にキッチン、バスルーム、トイレの水回りは、住み心地が快適になりそうな便利な設備がたくさんあるものです。
さまざまな事情で中古物件にしたけれど、やはり最新設備を使いたい…。それならリフォームで最新設備を取り入れましょう。新築にはないメリットとして、自分の好み通りの設備で家をカスタマイズすることも可能です。
今回は、一級建築士、宅地建物取引士などの資格を持ち、住宅の最新設備とリフォーム事情のどちらにも精通している大野光政さんに、水回りの最新設備や、リフォームの費用・期間などを伺いました。
お話を伺ったのは
大野光政さん
建設工事業、建築士事務所、宅地建物取引業の会社を経営。自らも一級建築士、宅地建物取引士という立場で建物を調査し、小規模な修理対応から中古住宅の再生に至るまで、
建物や施主のライフスタイルに合わせた、わかりやすく、親しみやすいリフォーム提案を心掛けている。
総合情報サイトAll Aboutでは「リフォームにかかるお金」をテーマに記事を2006年から執筆している。
面倒な作業の効率アップ! キッチンの最新設備
キッチンに関しては、中古物件を購入した人の半数以上がリフォームをするそうです。人気がある最新設備としては「アイランドキッチン(対面式キッチン)」「IHクッキングヒーター」の2つが挙げられます。
「リフォームについては、大半の人がまず間取りから考えます。そのため、キッチンは設備だけ交換するよりも、レイアウトごと変更したいという人がほとんどですね。また、新築物件でも住まいを購入してから5年以内に何らかのリフォームをされる方が多く、特にキッチンでは新築は高さや棚の数などを変更することができず、使い勝手が悪いこともあります。そのため、私は『新築=完成』とは限らないと思っています」(大野さん)
家族との対話が増える「アイランドキッチン」
独立型キッチンからアイランドキッチンにリフォームすることで、『広い空間で作業したい』『子どもを見守りながら調理したい』などの希望がかないます。
「リフォームの場合、カウンターの高さなども自分の好み通りに決められるのが大きな魅力です。また、キッチンのリフォームと併せて、炊飯器やトースター、コーヒーメーカーなどの家電収納コーナーを作るのも、扉面材などで統一感が出せるので人気ですよ。よくある工事相場としては、費用は70~150万円、期間は14日間程度と考えておくといいでしょう」(大野さん)
掃除が楽になる「IHクッキングヒーター」
初期の100VのIHだと、火力が弱いと感じる人もいたようですが、現在主流の200VのIHであれば、火力の心配はほとんどないそうです。
「IHは火力調整が簡単で、掃除もしやすいと言われています。お子様がいるご家庭では、火を使わないので安全性が高いという利点もあります。グリル付きのタイプだと、工事費込みで費用が20~28万円、期間が1~2日間程度がよくある相場といえるでしょう。ただし、200V電源を引ける環境かどうかなど、条件によって費用や工期は変動する場合があります」(大野さん)
快適さを高める設備が豊富 バスルームの最新設備
最近のバスルーム設備では、「浴室暖房乾燥機」「断熱浴槽」が人気のものとして挙げられることが多いようです。
「中古物件の場合、建物本体にはお金をかけなくていいからこそ、設備やオプション重視にできるのが魅力です。リフォームによって一日の疲れを癒やすバスルームのグレードをアップさせるのもいいのではないでしょうか」(本文)
実は10万円前後から設置できる「浴室暖房乾燥機」
浴室暖房乾燥機があると、寒い冬でも浴室を温めておくことができ、ヒートショックの防止にもつながります。また、洗濯物を浴室に干すとスピーディーに乾かすことが可能なので、雨の日や、外干しが心配な場合、夜にしか洗濯できない場合なども便利だといえます。
「衣類や洗濯物の乾燥だけでなく、“換気”や“涼風”など、年間を通してバスルーム全体の快適さや清潔さを保つための機能が盛りだくさんです。タイプによっては、床暖房とセットで入れられる場合もあり、最近の新築物件では、浴室暖房乾燥機が導入されているケースが増えてきています」(大野さん)
また、浴室暖房乾燥機はタイプによって工事期間や費用が大きく変わるそうです。
「浴室暖房乾燥機には、大きく分けると“熱源式”と“電気式”の2種類があります。熱源式にリフォームする際は、熱源対応給湯器を導入する工事も必要になるため、費用は30~40万円、期間は2~3日程度がよくある相場の目安になります。一方、電気式の場合、費用は9~15万円、期間は1日程度です。ただし、熱源式はイニシャルコストがかかる分、ランニングコストは電気式より安く済むことが多いので、ライフスタイルに合わせて検討してください」(大野さん)
追いだきの回数が減りコスパの高い「断熱浴槽」
保温機能によって、長時間お湯の温度が冷めにくくなります。家族それぞれの入浴タイミングごとに、追い炊きやお湯足しが必要な場合でも、それほど時間がかからないようになります。
「追い炊きなどの時間・回数が減るため、光熱費もかなりお得になります。『お風呂がぬるい』『冷めている』というストレスも減少しますから、家族の帰宅時間や入浴時間がバラバラな場合は、断熱浴槽の恩恵を感じる機会が多いはずです。断熱浴槽付きのユニットバス(1坪タイプ)は、よくある相場の目安だと、工事費込みで60~120万円ほどとされています。期間は、もともとユニットバスタイプであれば7日間ほどですが、既存のお風呂がタイル張りの在来浴室だと10~14日間ほどになるでしょう。タイルを壊したり、腐食している土台を入れ替えたりする必要があるからです」(大野さん)
スッキリした空間になって掃除も簡単に トイレの最新設備
トイレをリフォームすると、気になる使用感や古さの払拭ができたり、お手入れや掃除が簡単になったりなど、いろいろなメリットがあります。最近は「タンクレストイレ」「収納一体型トイレ」の人気が高いようです。
「トイレは故障しない限り使い続ける場合も多いと思いますが、10年前のものと比べると、性能や設備は格段に進化を遂げています。最新のトイレにリフォームすれば、『汚れにくい』『暖かい』『省スペース』『オート機能』など、さまざまなニーズに応えてくれるでしょう。また、節水機能による省エネ効果も大きく、リフォームするほうがお得な場合も多いです」(大野さん)
掃除が楽になり部屋が広く使える「タンクレストイレ」
タンクがなくなることで、トイレ室内を広く演出できるようになるのが長所です。間取り的にトイレ室は狭く作られているケースが多いですが、タンクがなくなるだけでも、空間にゆとりが生まれます。
「シンプルで優れたデザインのものが多いことも、タンクレストイレの特徴でしょう。また、トイレ本体や壁・床部分が掃除しやすくなるのも人気の理由です。タンク上部の手洗いもなくなるので、水ハネ掃除のわずらわしさからも解消されます。商品代は20~40万円程度が目安になります。0.75~1帖で、壁紙・床材などの内装を併せてリフォームする場合、費用は40~60万円前後、期間は2~3日程度を考えておくといいでしょう」(大野さん)
水回りを最新設備にリフォームして、好み通りの家に!
大野さんによると、日々進化を遂げている水回りの設備などを、自分のライフスタイルに応じて取り入れていけることこそ、リフォームの醍醐味とのことです。
「新築物件だと、水回りの設備などはすべて決められていてあまり選べないケースがほとんどですが、リフォームだと確実に好きなものをオーダーできるので、好み通りに家を変えていけるおもしろさがありますよ。今回はよくある工事相場の目安を挙げさせていただきましたが、在庫品や規格品などでリーズナブルにリフォームできる場合もありますから、ぜひ業者の方に確認や相談をしてみてください」(大野さん)
水回りのリフォームで最新設備を手に入れれば、生活の快適さやクオリティがぐんと上昇することがわかりました。また、リフォームには一定の費用・期間が必要になりますが、ランニングコストと併せて考えると、かなりお得になる設備も多いです。特に、最新機能の種類や効果が優れていて、費用や工期の負担が少ないトイレは、水回りの中でもリフォームにおすすめの場所。物件検討時に気になった設備があるなら、リフォームを検討してみてはいかがでしょうか?