リフォームの満足度は水まわりが決める! 納得できる水まわりのリフォーム術

中古物件を購入した際、前の住人の使用感が残っていたり、設備の古さや劣化で使いにくさを感じたり、などの理由で、水まわりのリフォームを行いたいという方も多いのではないでしょうか。
しかし水まわりのリフォームは設備の選び方はもちろん、レイアウトによっても費用が大きく異なります。またオプション品が豊富なため、リフォーム後の姿が具体的に定まっていないと選びにくいものです。
そこで今回は、水まわりの設備の選び方について、一級建築士で住宅リフォームコンサルタントの尾間紫さんに話を伺いました。

取材にご協力いただいたのは

尾間紫さん

一級建築士事務所 OfficeYuu代表
一級建築士、 インテリアコーディネーターとして数多くの住宅リフォームの現場やインテリア、設計、工事に携わる。現在は住宅リフォームコンサルタントとして、快適な住まいづくりのノウハウをテレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中。

キッチン、バスルーム、洗面、トイレの選び方のポイントは?

住宅の水まわり設備には、大きく分けると、キッチン、バスルーム、洗面、トイレの4箇所があります。いずれも毎日の生活で必ず使うものですので、日常の汚れが溜まりやすく、さらに水アカや湿気による傷みも蓄積されていく箇所です。
そのため、水まわりのリフォームを希望する人は多く、またリフォームすると劇的に快適度が向上する部分でもあります。しかし、水まわりの設備にはそれぞれたくさんの商品やオプションがあり、どんな設備を選べばよいのか、なかなかわかりませんよね。ここからは各設備にどのようなポイントがあり、どのように選べばよいのか解説します。

キッチン、バスルーム、洗面、トイレの選び方のポイントは?

キッチンは、リフォーム前に自分に合うキッチンスタイルをチェック

「キッチンには、ダイニングとのつながり方や、収納の設置場所などによって、いろいろなスタイルがあります。そのため、まずは『どんな暮らしがしたいか』という理想の暮らしを考え、『それを叶えるキッチンスタイルはどんなレイアウト&設備か』を検討するのが、基本的な流れです」(尾間さん)

キッチンは、リフォーム前に自分に合うキッチンスタイルをチェック

キッチン選びのポイント① 理想の暮らしをもとに、レイアウトを決める

キッチンのスタイルは一般的に、「壁付け式キッチン」「ペニンシュラタイプの対面式キッチン」「アイランドキッチン」「独立式キッチン」の4種類に分けられます。まずはリフォーム後のキッチンの使い方にあわせ、キッチンのスタイルを決めましょう。

(1)壁付け式キッチン
「ダイニングとキッチンが1部屋になっていて、キッチンが壁に据え付けられているレイアウトです。狭い面積でも効率よくひろびろ使えるので、移動や配膳がラクにでき、家事を手早く進めたい人に向いています」(尾間さん)

(2)ペニンシュラタイプの対面式キッチン
「キッチンが食卓のほうを向いているレイアウトです。テレビを観たり、家族と会話をしたりしながら料理をしたい人に向いています」(尾間さん)

(3)アイランドキッチン
「キッチンがどこの壁にも接することなく、1つの島の様に部屋の中心にレイアウトするスタイルです。複数で一緒に料理をしたい人や、ホームパーティを開きたい人はもちろん、バリアフリーにしたい人にも向いています」(尾間さん)

(4)独立式キッチン
「ダイニングから分かれて個室になっているレイアウトです。厨房のようなイメージで、高機能な設備や大型収納を充実させやすいので、料理に集中したい人に向いています」(尾間さん)

キッチン選びのポイント② 大きく費用を左右する、キッチンのグレードを決める

「レイアウトの次に決めるべきなのが、キッチンのグレードです。キッチンはグレードごとにシリーズがあり、細かい仕様が異なり、費用が変わります。またそれぞれのグレードごとに様々な扉材が選べるようになっています。レイアウトを変更せず、高機能なシステムキッチンに入れ替えるだけでも、暮らしの快適性は向上します。他にも、壁付け式キッチンのまま、収納カウンターなどを据え付けて対面風にアレンジするなどのアイデアもあります。自分の理想をもとにさまざまな商品を見たり、リフォームの専門家に相談したりしてみるとよいでしょう」(尾間さん)

キッチン

キッチン選びのポイント③ 使い勝手に直結するコンロや換気扇などのオプション類はしっかり選んで予算調整

「キッチンにはコンロや換気扇、食器洗い乾燥機や水栓金具などの設備が付属しています。これらをしっかり選ぶのが本当に使いやすいキッチンにするコツです。これらに加えて、浄水器や自動昇降する吊戸棚など、システムキッチンにはオプション類が豊富です。選択肢があることを知らなかったり、『どれでも同じだろう』と機能をあまり見極めないで選んだりする人も少なくないのですが、これらの有無や機能差によって毎日の生活の快適度が変わります。最後にこれらの吟味をすることで予算調整がしやすくなりますので、しっかり選んでくださいね」(尾間さん)

コンロ

バスルームも希望を考えてから、それを満たすために必要なものを検討する

バスルームは基本的に、床、壁、天井、浴槽、出入り口扉、水栓金具、照明で構成されていて、加えて換気扇や浴室換気乾燥機、鏡、カウンター、手すり、物干しパイプ、ミストサウナ、テレビ、スピーカーなどのオプション品があります。
どれをどう選ぶかでお風呂の快適度が大きく変わり、家事の手間も変わりますので、プランを決めるのに時間がかかります。

浴室リフォームを成功させるコツは、最初に、「こんなお風呂にしたい」という希望の暮らしをはっきりさせることだそうです。その希望を満たせるレイアウトや商品のグレード、オプション類を選んでいきましょう。

バスルームも希望を考えてから、それを満たすために必要なものを検討する

バスルーム選びのポイント① 理想の暮らしをもとに、バスルームの大きさを決める

「バスルームのリフォームでは、まずは浴室の広さを検討しましょう。ゆったりと足を延ばして入れるお風呂にするためには、やはりある程度の広さが必要です。
大きさが決まるとリフォーム工事費の目安が算出できます。浴室を広げる場合は、間取りの変更が必要ですので、その分の費用も見ておく必要があります。
浴室を広げることができない場合も、今は浴槽の機能やデザインが進化しているので、システムバスの交換をするだけでも、快適度は向上します」(尾間さん)

バスルーム

バスルーム選びのポイント② 機能や性能で商品のシリーズを決める

「次は、どんなシステムバスを入れるのか、商品のシリーズを決めましょう。
システムキッチンと同じく、グレード別にシリーズがあり、費用が変わります。グレードによって入れることができる浴槽や、付けることができるオプション品が変わりますので、しっかりチェックしましょう。
選ぶ浴槽の種類によっても費用は変わります。おすすめは人造大理石浴槽で、なめらかな手触りで高級感があり、掃除も楽にできます。ただし、バスルームの間取りや広さによっては、『このシリーズの商品じゃないと設置できない』というケースなどもあるので、迷うときはリフォームの専門家に相談し、力を借りるとよいと思います」(尾間さん)

バスルーム選びのポイント② 機能や性能で商品のシリーズを決める

バスルーム選びのポイント③ 好みによって差が大きく出るオプション設備

「最後に、希望に応じてオプション設備を決めましょう。最新のシステムバスには、肩湯や打たせ湯、ハイビジョンテレビなど、バスタイムを豊かにしてくれる設備や、浴室換気乾燥暖房機や収納棚など暮らしを便利にしてくれるものまで豊富なオプション品が揃っています。これらをどう選ぶかで総費用が変わりますので、しっかり選んで予算調整を行いましょう」(尾間さん)

オプションが少ない洗面台は、グレードやシリーズで費用がほぼ決まる

洗面台は基本的には、水栓、ボウル、鏡、カウンター、収納で構成されています。商品グレードや大きさ、収納やミラーの形状によって費用が異なります。

洗面台

洗面台の選び方のポイント① レイアウトはバスルームと併せて考える

「洗面所はバスルームと隣接していることが多いので、一緒に工事をすると効率よくできます。またバスルームと一緒にプランニングすることで、統一感のある快適な空間が生み出せます」(尾間さん)

洗面台の選び方のポイント② 商品のシリーズを決める

「洗面台もキッチンやバスのように、グレードによってシリーズが分かれていて、それぞれ費用が異なります。加えて洗面台のリフォームで費用に差がつくポイントは、収納の大きさと形状にあります。引き出しタイプか観音扉タイプかによっても変わりますので、しっかりチェックしましょう。洗面所は収納不足に陥りがちな場所です。洗面所を広くすることが難しい場合でも、システム収納セットなどを上手に使えば、すっきり片付けることができます」(尾間さん)

トイレは便器の種類に加えて、壁・床のリフォームも検討を!

トイレはキッチンやバスルームに比べると選びやすいのが特徴です。便器には大きく分けて4つの種類があり、トイレの広さの変更などをしない場合は、便器のタイプを決めればリフォーム費用の目安も決まるそうです。

トイレは便器の種類に加えて、壁・床のリフォームも検討を!

トイレの選び方のポイント① 便器は4タイプの中から使い勝手で選ぶ

便器のタイプは大きく分けて4つあります。

(1)組合せ便器
独立している便器・タンク・便座を組み合わせたトイレです。比較的安価なものが多く、予算を抑えながら最新のトイレにリフォームできます。

(2)シャワートイレ一体型便器
タンクと便座(シャワートイレ)が一体になっているトイレです。組合せ便器に比べて、汚れやすいタンクと便座のすき間がないのが特長です。

シャワートイレ一体型便器

(3)キャビネット付き便器
「便器が収納棚とセットになっているタイプです。トイレットペーパーやお掃除道具などを収納できるのでし、トイレ空間をすっきり使うことができます」(尾間さん)

キャビネット付き便器

(4)タンクレストイレ
「後ろに水を溜めるタンクがないタイプです。トイレが広く使える、掃除がしやすい、デザイン的にトイレがスッキリして見える…など多くのメリットから、個人のトイレリフォームでは人気です」(尾間さん)

タンクレストイレ

トイレの選び方のポイント② シリーズやグレードを選び、壁・床のリフォームも検討する

「便器のタイプを選んだ後は、機能やデザインなどに応じて、商品のシリーズやグレードを選びます。
『別に手洗いスペースを設けたい』と考える人も多いので、希望する場合はその予算も見ておいてください。
また、トイレの内装工事の際は便器を一旦取り外す必要があるので、便器を買い替える際に、ぜひ壁や床も併せてリフォームしておきましょう。どうせ便器を脱着する費用が必要になるのですから、同時にリフォームするほうが圧倒的にお得です」(尾間さん)

設備ごとに費用にメリハリをつけて満足度の高い家に

尾間さんいわく、満足度の高い家にリフォームするためには、水まわりを自分の理想の暮らしに合った設備にリフォームすることが大切だそうです。尾間さんが考えるこだわりの部分とは、どこでしょうか?

「私の場合は、トイレにこだわります。その理由は、トイレは家族全員が毎日使う場所ですし、掃除がしやすいかどうかでストレスの量も変わってくるから。そのため、リフォームによる満足度がとても高い場所です。またトイレは住む人のセンスが表れやすく「家の素顔」が見える場所なんですね。こだわっておくと、お客様にも喜んでもらえるので、素敵なトイレにリフォームし甲斐があると思いますよ。現代はリフォームによってあらゆるスタイルが実現でき、理想や予算に合わせて自由に商品やプランを選べる時代ですから、ぜひ満足度の高いリフォームを実現してくださいね」(尾間さん)

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