【新築VS中古】マンションのメリット・デメリット徹底比較

マンション購入の際に迷いどころとなるのが、「新築」or「中古」。新築マンションは価格が高く大幅に予算オーバー、とはいえ、中古マンションは設備の劣化や、他人が使っていたものを使うのがイヤ…。今回はそんなジレンマのとっておきの解消法である「中古マンション+リフォーム」について一級建築士で住宅リフォームコンサルタントの尾間紫さんに伺いました。

取材にご協力いただいたのは

尾間紫さん

一級建築士事務所 OfficeYuu代表
一級建築士、 インテリアコーディネーターとして数多くの住宅リフォームの現場やインテリア、設計、工事に携わる。現在は住宅リフォームコンサルタントとして、快適な住まいづくりのノウハウをテレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中。

購入経験からわかった新築・中古のメリット・デメリット

今回お話をお聞きした尾間さんは、一級建築士で、住宅リフォームコンサルタントとして数多くの方の相談に乗ってこられただけでなく、ご自身でも新築・中古マンション両方の購入経験があるとのこと。そんな尾間さんに、新築・中古マンション両方のメリット・デメリットを解説していただきました。

新築マンションのメリットは「時代にマッチした最新鋭の設備」

新築マンションのメリットは、オートロックなどの防犯性能、使いやすいシステムキッチン、大きな浴槽を備えたお風呂など、さまざまな最新設備を備えていること。そして、そんな最新鋭の設備を新品のピカピカの状態で使用できるのが、新築マンションの大きなメリットです。

宅配ボックスが設置されているなど、共用部分(エントランスなど)にも生活ニーズにマッチした設備が備えられている点もうれしいポイントです。

「住居に求められる設備は時代によって変わります。やはり新築マンション最大のメリットは、最新鋭の設備が備わっていることです。それと、実際に私が住んでみて驚いたのが断熱性の高さ。サッシが結露しにくく、夏は涼しく冬は暖かいのが、日々生活する上で非常に便利でしたね」(尾間さん)

新築マンションのデメリットは「価格が高騰しなかなか手が届きにくい」

新築マンション最大のデメリットは、とにかく価格が高いこと。特に最近は不動産の価格が上昇しており、東京23区内の新築マンションにはとても手が届かない…、という方も多いのではないでしょうか。そうなると、予算内で新築マンションを選ぶには、最寄駅からの距離などマンションの立地、部屋の広さ、眺望や日当たりなどを妥協する必要が出てきます。また、実際に住んでみなければわからないデメリットもあります。

「私の場合、キッチンの高さが合わず使いにくかったり、収納スペースが足りなかったりしたので荷物の整理をしました。細かいことですが、キッチンなど毎日使う設備はちょっとした使いにくさが蓄積されて大きな不満になります。新築マンションはさまざまな人に合わせ、最大公約数的に設計されているケースがほとんどですので、自分の生活に100%マッチした新築マンションと出会うのは至難の業と言っていいでしょう」(尾間さん)

最新鋭の設備を備えた新築マンションには憧れますが、やはりデメリットは価格の高さ。それなら手が届きやすい中古マンションの購入を考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここからは中古マンションのメリット・デメリットをご紹介します。

中古マンションのメリットは「予算内で好条件の物件が見つかりやすい」

新築マンションより価格が抑えられるため、予算内で、部屋の大きさ、立地などの条件が良い物件を見つけやすいのが、中古マンションを選ぶ最大のメリットです。また、購入前に、実際の建物、部屋の広さや間取り、眺望や日当たり、マンションのコミュニティや街並みの雰囲気を確認できるので、入居前のイメージとのギャップが少ないのもメリットのひとつです。

「今後この先長く住むことを考えると、家族が増えることもあるでしょう。そういった家族の増減にも対応できるような、比較的広い部屋を購入しやすいのは中古マンションのうれしいところです。また、マンションの維持管理やゴミ捨ての様子なども事前に確認できるので、住み始めてからのイメージをリアルに想像することができます。金銭的にも大きな買い物になるので、『こんなはずじゃなかった…』と後々思うリスクが少ないことがメリットです」(尾間さん)

最新鋭の設備には憧れるものの、なかには使いにくいケースも

最新鋭の設備には憧れるものの、なかには使いにくいケースも

中古マンションのデメリットは「設備が古く水回りの劣化が目立つこと」

マンションの築年数にもよりますが、やはり内装や設備の劣化が中古マンションの気になるポイントです。水回りは傷んでいるケースが多く、特にトイレは、尿石が便器にこびりついていたり、壁、床に飛び散った尿などにより不快なにおいがすることもあります。

「設備の劣化は中古マンションの大きなデメリットです。水回りに前の住人が使用した痕跡や劣化などがあると、衛生的にも生理的にもイヤですよね。そういった場合は、気になる部分だけを自分好みにリフォームしてしまうのもひとつの手です」(尾間さん)

第3の選択肢は「中古マンション+リフォーム」

実は中古マンションのデメリットである「設備の劣化」は、リフォームすることで新築マンションにはない新たなメリットに変えることができます。

「リフォームは、単に中古マンションのデメリットを無くすだけではなく、設備やインテリアを自分好みにカスタマイズできるため、新築にはない新たなメリットとなります。中古マンションの物件を選ぶとき、少し気になる部分があっても『ここはリフォームすればいいや』と考えれば、物件選びの幅も広がるはずです。もちろん断熱性能の向上もリフォームでできます」(尾間さん)

また、中古マンションを購入する際に、尾間さんが必ずおすすめするリフォームポイントもあるそう。

「中古マンションの設備のなかでも、特にリフォームすると快適になるのがトイレです。前の住人がいくらきれいにトイレを使っていたとしても、長年の使用により尿石が便器にこびりついていることがあり、悪臭が漂っていることも。せっかく念願のマイホームを手に入れたのに、トイレから悪臭が…といったことにならないためにも、必ずトイレリフォームはやっておくことをおすすめします。トイレリフォームのみなら、すぐにできて、その後の暮らしの満足度が格段に上がります」(尾間さん)

▼CHECK
下記の記事ではトイレリフォームにかかる手間・時間のポイントについて解説しています。
>>トイレリフォームにかかる手間・時間を完全解説

トイレの壁と床も同時にリフォームすればコスパも◎

トイレリフォームを行うときに注意したいのが、便器だけを交換して安心しないことです。実は、壁や床には便器からはねた尿の飛沫が付着し、染み込んでいることがあります。中古マンションの場合は、前の住民がどんなトイレの使い方をしているかわかりません。

「便器を取り替えるときは壁や床も同時に張り替えておくことで、トイレのイヤな臭いを防ぐことができます。また、好きな壁紙に変えることで、トイレ空間そのものを自分好みにできます、長く使うトイレだからこそ、快適に過ごすことができるようなリフォームがおすすめです。壁や床の張り替えは、便器の交換時なら手軽にできて、空間がまるごとリフレッシュされるので、満足度がとても高いんですよ」(尾間さん)

トイレ

壁と床を同時にリフォームすることで、トイレ空間の統一感も実現

中古+リフォームで自分に合ったマンションに!

新築マンションより価格を抑えられ、自分好みのカスタマイズまで可能な「中古マンション+リフォーム」。新築と中古で迷ったら、ぜひリフォームまで視野にいれて、物件選びをしてみましょう。

リフォームを考える際はトイレリフォームを検討することを忘れずに。下記のリンクでは実際にトイレリフォームを行った人の事例を見ることができるので、「トイレってどんなリフォームをすればいいんだろう?」と思った方はぜひ参考にしてみてください。