マンションリフォームの費用はいくらかかる? 予算別リフォームプランガイド

マンションリフォームの費用はいくらかかる? 予算別リフォームプランガイド

中古マンションを〝わが家らしく〟仕上げるためにリフォームしたい、でも、どのくらい予算が必要なのかわからない……。そんなお悩みを持つ方は多いもの。そこで、一級建築士と宅地建物取引士の資格を持ち、住宅の最新設備とリフォーム事情に精通している大野光政さんに、リフォーム内容を予算別に3つに分けて、それぞれどのようなプランが可能なのか教えてもらいました。リフォームを検討している方は、予算やプランを決める際の参考にしてください。

お話を伺ったのは

大野光政さん

大野光政さん

建設工事業、建築士事務所、宅地建物取引業の会社を経営。自らも一級建築士、宅地建物取引士という立場で建物を調査し、小規模な修理対応から中古住宅の再生に至るまで、
建物や施主のライフスタイルに合わせた、わかりやすく、親しみやすいリフォーム提案を心掛けている。
総合情報サイトAll Aboutでは「リフォームにかかるお金」をテーマに記事を2006年から執筆している。

自分にあった設備をリフォームし満足度の高い家を

「リフォームに必要な費用は、どの部分を、どのようにリフォームするのかによって大きく変わります。200~300万円くらい予算があれば、水回り4カ所(トイレ、キッチン、バスルーム、洗面所)のリフォームはできます。ただし、グレードの高い設備を設置し、床・壁も取り換えて、満足度の高いリフォームを行うには、平均して500~600万円必要です。設備の入れ替えだけではなく、間取り変更などを行いたい方は予算600~800万円の予算がかかると見込んでおくとよいでしょう」(大野さん)

大野さんによればリフォームにかかる費用は、大きく分けて予算200万〜300万円のライトプラン、予算500万円前後〜600万円のスタンダードプラン、予算600~800万円のプレミアムプランの3つに分けられるそうです。ここからはそれぞれのプランを解説していきます。

予算200万円前後~300万円のライトプランでは水回り全体をリフォーム可能

リフォーム費用を抑えつつ新しくしたいという人向けのライトプランでも、トイレ、キッチン、バスルーム、洗面所の、水回りの設備を新しくすることが可能です。ただし、選べる製品が限られる上、標準装備のみでオプションはつけられないなどの制限はあります。

「リフォーム内容としては、間取り変更を伴わない住宅設備の入れ替えが中心となります。キッチンの位置を動かすなど、設備の配置を変更するほどの予算はありません。そのため、築年数が古く間取りの変更が必要になる物件をリフォームする場合は、もう少し予算に見込んでおいた方がよいでしょう。どうしてもこだわりたい場所があるときは、その場所を重点的にリフォームし、ほかの場所は残った予算でできることだけする、といった割り切りも必要になるかもしれません」(大野さん)

ライトプランでは設備の簡単な入れ替えのみ

種類:セクショナルキッチン
価格相場: 60万円前後
解説:システムキッチンの位置を動かすことはできませんが、現状設置されているものと同タイプであれば、新しい設備に取り換えが可能。ただし、システム収納を設置したい場合は、別途予算を見込んでおきましょう。

ライトプランでは設備の簡単な入れ替えのみ

シンプルなキッチンであれば、50万円から対応可能

・トイレ
種類:タンク付きトイレ
価格相場:30万円前後
解説:近年のトイレは出寸法が小さくなっている傾向があるので、新しい便器で既存便器の設置跡を隠せないこともあります。床の張替え予算が必要かどうかは、しっかりと吟味しておきましょう。

・洗面所
価格相場:20万円前後
解説:間口90㎝までの洗面台なら交換可能。洗面台のみの交換が中心のプランとなるため、床や収納の工事は別途費用となります。

・バスルーム
価格相場:100万円前後
解説:現状設置されているものと同じサイズのものであれば、ユニットバス全体を入れ替えることが可能ですが、オプションが限られるなどの制約があるので確認が必要です。

※価格は工事費込み。(以下同)

ベーシックプランなら床・壁の張り替えも可能

予算500万円前後~600万円のベーシックプランであれば、水回りの設備は総じてグレードアップしたものを取り付けられます。その上、床・壁の張り替えなども行う「フルリフォーム」が可能に。

「中古マンションの定番であるI型キッチンを対面型やアイランド型に変える、独立型キッチンをオープンキッチンにするなど、一部配置変更を伴うリフォームまで対応可能なことがほとんどです。また、水回り全体を平均的にグレードアップするのではなく、こだわりたい部分だけフルスペックの最高級品を取り付け、そのほかの場所は予算を抑える、というリフォームをする方もいます。どちらがよりわが家らしいリフォームができるかを考えて決めましょう」(大野さん)。

ベーシックプランからはシステムキッチンが選択可能に

・キッチン
種類:システムキッチン
価格相場:150~230万円
解説:グレードの高いシステムキッチンを選ぶことができますが、水回り全体のグレードアップを図りたい場合は、フルスペックの装備は難しくなります。また、壁・床の張り替えを行う場合は、工事費用に30〜50万円がプラスされると見込んでおきましょう。

・バスルーム
価格相場:120~180万円
解説:グレードの高いユニットバスを取り付けられ、床・壁もリフォームできます。お風呂にこだわりたい人は、「打たせ湯」などのオプションをつけることも可能です。

・トイレ
価格相場:40~50万円
解説:タンクレストイレの一番良いグレードのものを取り付けられ、手洗器の設置も可能。壁・床も取り替えられます。

ベーシックプランからはシステムキッチンが選択可能に

トイレの場合、スタンダードプランでも、最もグレードの高いものにリフォーム可能で、満足度が高い

・洗面室
価格相場:40~60万円
解説:洗面台だけでなく、壁・床を含めた洗面室全体のリフォームが可能で、システム収納も取り付けられます。

プレミアムプランなら間取りから変更可能なスケルトンリフォームも

予算600~800万円のプレミアムプランのリフォームは、新築マンションの平均的な間取り、設備では満足できず、中古マンションを丸ごとリノベーションしたい人に向いたプランです。

「プレミアムプランであれば部屋数を変える、間取りを変更するなどのスケルトンリフォームができます。ただし、マンションの場合は窓や玄関の位置など共用部分の位置変更はできないので、注意が必要です。また、あえて築年数の古く価格が安いマンションを購入し、プレミアムプランでリフォームをする方も多くいらっしゃいます」(大野さん)

プレミアムプランなら間取りから変更可能なスケルトンリフォームも

男性は、お風呂にこだわりたい方が多く、プレミアムプランではバスルームにお金をかける人が多いそう

すべての設備で最高級グレードにリフォーム可能

種類:システムキッチン
価格相場:300万円前後
解説:IH、システム収納、ガラストップ、フルオプション完備と、思い通りのシステムキッチンを取り付けられます。

・バスルーム
価格相場:200万円前後
解説:スタイリッシュなハイグレードユニットバスをフルオプションで取り付けられます。ミストサウナやおふろ用のスピーカーなど、オプションなども採用可能。オーダーメイド感覚でオリジナルのバスルームを作ることができます。

・トイレ
種類:タンクレストイレ+壁床のリフォーム
価格相場:50~60万円
解説:トイレ本体の価格はベーシックプランと変わりませんが、アッパーキャビネットなどで収納部を増やしたり、またはエコカラットなど、消臭効果のある壁材などのオプションも取り付け可能です。

・洗面室
価格相場:80〜100万円
解説:最上級の洗面台を取り付けられるのに加え、洗面室を広くして収納を増やすなど間取りを変更するリフォームができます。

満足度で選ぶならトイレリフォームがお勧め

満足度で選ぶならトイレリフォームがお勧め

予算別にさまざまなリフォームをご紹介してきましたが、大野さんはトイレのリフォームだけは必ずお金をかけておいたほうがよいと勧めています。

「水回りの中でもトイレは20年前と比べると特に進化しているため、リフォームの効果が実感しやすい場所です。また、節水や節電効果が目に見えてわかるため、満足感とお得感が大きいのです」(大野さん)

しかもトイレは「リフォームの満足度が高い場所」だと大野さんは言います。「空間自体を広くするような大掛かりなリフォームをしなくても、タンクレストイレに換えるだけで使える空間が広くなり、使い心地がぐんとよくなるのはトイレならではのメリットです」(大野さん)。

このように、トイレをリフォームするメリットはたくさんあります。中古マンションのリフォームは、まずトイレから考えみるのはいかがでしょうか。