中古マンション購入+リフォームにかかるステップ・時間をまるごと解説

中古マンション購入+リフォームにかかるステップ・時間をまるごと解説

リフォーム済の新居に入居するためのステップ

中古マンションを購入する場合、できればリフォームを済ませてから入居したいですよね。でも、マンションのリフォームが行えるのは、実は引き渡し(全額支払って鍵を受け取る)をしてからです。そのため、購入してからリフォームする場合には、せっかく購入した物件のリフォームが終わらず、なかなか入居ができずに家賃を払い続けるといったことも起こります。その期間も住宅ローンの返済は発生してしまうので、リフォームした状態の物件にできるだけ早く入居するためには、通常よりもスケジュール感に気をつけて物件購入・リフォームを行わなければなりません。
そこで、この記事では、中古マンション購入&リフォーム工事完了を理想的な最短の手順で進め、最短で入居できるためのステップを、住宅ジャーナリストの山本久美子さんに伺いました。
ステップは下記の図にまとめました。ここからは各ステップの内容・時間・注意点などをご紹介します。

お話を伺ったのは

山本久美子 (やまもと・くみこ)

●住宅ジャーナリスト
(早稲田大学卒業。)リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナー等の講演にて活躍中。著書『中古マンション 購入&リフォーム 得する選び方・改装術』(小学館)のほか、「SUUMOジャーナル」「All About」等のサイトで連載中。

『物件購入』『リフォーム』『ローン』の3つを効率よく進める

中古マンション購入+リフォームにかかるステップ・時間をまるごと解説

「中古マンション購入&リフォーム工事をできる限りスムーズに進めるためには、『物件(中古マンション)購入』『リフォーム』『ローン』の主に3つの流れを理解し、並行して効率よく進めていくことが重要です」(山本さん)

ここからは、ステップごとに物件購入、リフォーム、ローンの3つでやるべきことを解説します。

ステップ1 情報収集&戦略を立てる

【物件購入】
戦略を練るために、まずは欲しいマンションの条件を整理し、物件情報を集めることから始めましょう。ステップ1は、後々の工程をスムーズに進めたり、トラブルを防いだりするための情報収集と戦略検討の期間です。
「もちろん個人差はありますが、最低限の知識を自分でしっかり得ておくためにも、1~2ヵ月ほどじっくりと時間をかけて調べるのがいいと思います」(山本さん)

「住みたいエリアや間取り、周辺環境などの希望条件に応じて、インターネットなどを使って情報をできる限り集めていくと、だいたいの相場がわかってきます。その際、自分の希望するエリアや条件に強そうな不動産会社(仲介会社)の候補を、いくつかリストアップしておきましょう。」(山本さん)

【リフォーム】
まずは、どういったリフォームをしたいのか、イメージを固めます。気になるところだけを替える簡易なリフォームをするのか、それともフルリフォームをするのかなどによって、予算も大幅に変わりますし、希望に適した工事ができるリフォーム会社を選ばなければならないからです。また、物件選びの際に、候補となる物件ごとにどんなリフォームが必要になるかも考えておきましょう。

「ステップ1では、実施したいリフォームの内容と、リフォーム会社の得意分野をマッチングさせる期間でもあるので、リフォーム会社についても施工事例などを調べて、依頼先の候補をいくつかリストアップしておくといいでしょう。フルリフォームを考えている場合は、不動産会社よりもリフォーム会社のほうを先に決めて、付き合いのある不動産会社を紹介してもらうケースも期間短縮には効果的です。簡易なリフォームだけでいいという人は、トイレリフォームとクロスの張り替えがお勧めです。お金も時間もあまりかけずに、マンションの中古感をなくすことができますよ」(山本さん)

トイレはほとんどの場合で半日〜1日程度で工事が完了する

トイレはほとんどの場合で半日〜1日程度で工事が完了する

【ローン】
集めた情報を参考に、どの程度の金額を物件購入に充てて、リフォーム予算はいくらくらいにするかという戦略を立てます。

「銀行のローンシミュレーターで目安を確認したり、近年増えている中古・リフォーム一体型ローンについて調べたりしておくといいでしょう」(山本さん)

ステップ2 物件見学・決定&リフォームプラン・依頼先決定

ステップ2は、不動産会社とリフォーム会社、物件、リフォームプラン、資金計画を実際に決定する期間です。

「あくまで理想的に進んだ場合でも、1~2ヵ月ほどの期間はかかると考えておきましょう。もちろん、物件選びやリフォーム内容にこだわればこだわるほど時間はかかります。情報収集を始めてから、マンションを実際に決めるまで、通常3ヵ月ほどかかるともいわれています」(山本さん)

【物件購入】
ステップ1で集めた情報をもとに、実際に不動産会社に足を運んで、マンションを見学してみましょう。

「中古マンションの場合、営業マンの力量で、希望の物件を引き寄せられるかどうかが決まると言っても過言ではありません。3社くらいに、リフォームを希望していると相談してみて、希望条件を理解してくれるか、信頼関係を築けそうか…という観点で早めに1社に絞りましょう。最終的に選んだ不動産会社に物件を紹介してもらい、何物件か見学に行って決めるという手順がお勧めです」(山本さん)

【リフォーム】
希望のリフォームが得意なリフォーム会社を選びます。

「数社にリフォームの希望内容を相談し、それに近い施工事例を見せてもらったり、可能であれば施工主に会わせてもらったりして、イメージに合うリフォーム会社に決めるといいでしょう。各社にリフォームプランや見積もりを出してもらったら、それらを参考にして、最終的に1社に絞り込みましょう。その後はショールームで商品を見たり、担当者にどんどん相談したりして、より具体的なリフォーム戦略を一緒に練ります」(山本さん)

中古マンション購入+リフォームにかかるステップ・時間をまるごと解説

【ローン】
物件を決めたら、資金計画を立てましょう。

「自己資金と借入額をそれぞれいくらにするのか、ローンはどこから借りるのかなどを具体的に決めます。次のステップ3で物件の売買契約を結ぶ前に、ローンの仮審査が必ず入り、一般的に7~10日間ほどかかるので、この間にリフォームの詳細見積もりを手配しておくといいかもしれません」(山本さん)

ステップ3 売買契約&リフォーム工事請負契約

ステップ3は、売買契約を結んで住宅ローンを申し込み、リフォームの詳細見積もりを出してもらって、物件の引き渡しと工事請負契約を行う期間です。

「売買契約から物件の引き渡しまで、最短で理想的に進んだ場合、トータルで3~4週間ほどかかると考えておくといいでしょう」(山本さん)

【物件購入】
物件が決まり次第、不動産会社を通して契約を結びます。

「契約する前に不動産会社から、物件に関わる重要な事項を網羅した『重要事項説明書』を事前に受け取り、不明な点がないようにしてのぞむとよいでしょう。事前入手が難しい場合は、契約当日に宅建士から「重要事項説明書」や「売買契約書」の説明を聞き、不明点はそのままにせず、納得がいくまで時間をかけるなどとしてもいいでしょう。また、この際に、「売買契約書」に記載してある物件の引き渡し時期もしっかり確認しておくことを忘れずに。問題がなければ、『不動産売買契約』を取り交わします。不動産売買契約は、物件を買うことを正式に決めるもので、契約時には手付金(購入代金の1割程度)の支払いが必要になります。契約自体は、1日で完了します」(山本さん)

【リフォーム】
依頼先を決めたら設計契約を結び、詳細な図面(実施設計)や見積もりを詰めて、OKであればその内容で契約を結びます。

「物件の引き渡しと、リフォームの工事請負契約を同時に行えるのが理想的なスケジュールです。原則としては、物件の引き渡しを受けてから現地調査に入ることになりますが、それでは着工までに時間がかかってしまうので、物件探しや見学と並行して、リフォームについてもできるだけ早めに詰めていく必要があります。だからこそ、ステップ1の情報収集と戦略立案が重要といえるのです」(山本さん)

また、工事請負契約から着工までの間に、マンションの管理組合への申請・届出が必要になります。

中古マンション購入+リフォームにかかるステップ・時間をまるごと解説

【ローン】
物件の売買契約を結んで、手付金を支払ったら、住宅ローンを申し込みます。
「住宅ローンの申し込みから契約までは、金融機関や内容によっても異なりますが、審査期間が一般的に2~3週間ほどかかります。売買契約が済んだらすぐに住宅ローンを申し込んで、余計な待ち時間がかからないように注意しましょう。いつ融資が行われるか、タイミングをしっかり確認しておくことも重要です。また、中古リフォーム一体型を使用しない場合、申し込みから契約までの2~3週間ほどの間に、リフォーム会社に詳細な見積もりを出してもらい、精査しましょう」(山本さん)

ステップ4 リフォーム着工・完了&引き渡し・入居

事前に確認しておいた物件の引き渡し期間が訪れ、引き渡しが行い、建築請負契約を交わした後、いよいよリフォーム工事に着手してもらいます。

「もちろん工事の内容や規模によりますが、リフォーム着工から引き渡しまで、10~30日間ほどかかるケースが多いようです。実は着工後の仕様変更も多いので、臨機応変に対応できるようにしておきたいものです。また、工事が完了したらスムーズに入居できるよう、準備を進めておきましょう」(山本さん)

マンション購入、リフォームするならショールームへ

中古マンションの購入手順だけでなく、リフォームの手順もきちんと頭に入れて、それらを同時に進めていくことで、無駄を省けることがわかりました。

「リフォーム済みの新居にすぐ入居するためのポイントは、中古マンションの引き渡し後、できるだけ早くリフォーム工事に着手できることです。そのためには、依頼する不動産会社だけでなく、リフォーム会社も早く決めることが大切です。すべてのリフォーム会社が、売買契約の前から対応してくれるとは限りませんが、信頼できるリフォーム会社にめぐり合い、効率よく段取りを進めていくためにも、事前の情報収集や相談をしっかり行ってくださいね」(山本さん)

中古マンション購入の際には、入居してからだと実施しにくいリフォームや、入居前の短い期間でも行えるリフォームを考えてみてはいかがでしょうか? その際はぜひ、早めにリフォーム会社に相談して、プロの助言を得ることも検討してみてください。またLIXILには、全国に約560店舗展開している「LIXILリフォームショップ」という住宅リフォームのネットワークがあります。ホームページでは施工事例など豊富に掲載しているので、気になる方はぜひご覧ください。