いくらまでなら無理なくマンションが買える? FPが教える賢いマンションの選び方

いくらまでなら無理なくマンションが買える? FPが教える賢いマンションの選び方

結婚し、将来のプランを考えるときに、避けては通れないのが家です。どんな場所に住み、どれくらいの予算を使えるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。東京都の平均年収をもとに、ファイナンシャルプランナーの平井さんに、どんなマンションが購入可能なのか解説していただきました。

取材にご協力いただいたのは

平井美穂さん

平井美穂さん

平井FP事務所代表
不動産営業を経験後、金融機関に転職し、融資・資産運用相談業務に従事。現在は公正中立な独立系FPとしてコンサルタント・講師業務を中心に活動中。不動産・住宅ローン相談を専門に、家計診断・保険・税制・相続などFPならでは総合的な提案を得意とする。ファイナンシャルプランナー(CFP)、宅地建物取引士、証券外務員1種の資格を持つ。

生涯収支をシミュレーションし、家にかけられるお金を算出

今回、平井さんにシミュレーションしていただくのは、夫婦共に30歳で共働き、世帯年収650万円(夫550万円、妻100万円)、子供はまだいないけれど将来的に2人はもうけたいと思い、マンションの購入を検討している家庭です。
まずは、65歳まで働く場合の就労所得と住居費以外の支出の累計額を算出してみましょう。その上で、無理のない範囲で購入できるマンションの予算を割り出します。
ここでのポイントは、現役時代に稼ぐお金で住宅ローンの返済を終えるようにすること、さらに老後への貯蓄も残しておくことです。

65歳までの収入と支出累計額

「最初に、平均的な賃金カーブに基づき年収が推移し、手取りは80%相当額と仮定して、65歳までの収入累計額を計算しています。次に、生活費や教育費の他、購入後の住宅にかかる管理費・修繕積立金、税金、保険料などを算出し、65歳までの支出累計額を割り出しました。この時点で収入累計額から支出累計額を差し引くと7,610万円。さらに老後への貯蓄1,000万円を引くと残金は6,610万円となります。この残金6,610万円が住宅予算に充てられる金額となりますが、住宅ローンの利息支払分も忘れてはなりません。住宅ローンの借入額を5000万円とすると、金利1.5%、返済期間35年、元利均等返済の場合の総返済額は6430万円です。つまり、住宅ローンの借入額としては、5000万円程度が妥当と判断することができます。これに、現在の貯蓄から自己資金に回せる金額を足した金額が住宅購入予算ということになります。」(平井さん)

ここからは、平井さんにマンション価格の相場などを考慮し、予算5000万円でどのような物件が購入できるのか解説していただきます。

想定物件① 新築物件購入の場合は東京隣接県の郊外に

「ここ数年、東京23区内のマンション価格は上昇し、今なお高止まりしています。今回の住宅予算5000万円で新築マンションを希望する場合、東京都に隣接した3県のマンションなら購入可能といえます。都心まで電車通勤で1時間30分前後の場所であれば、駅近の物件も選択肢に入れられるでしょう。将来的に子供が2人できることを考え、間取りは3LDK以上を条件にしています。ただし、将来のリフォーム費用までは確保できていない点が気になるところです」(平井さん)

想定物件
物件価格:5000万円
間取り:3LDK
広さ:60~70平米
築年数:0年(新築)
場所:東京近隣3県
最寄駅からの所要時間:徒歩5分以内
東京都新橋まで電車で1時間30分

想定物件① 新築物件購入の場合は東京隣接県の郊外に

想定物件② 中古物件+リフォームであれば東京23区内のマンションも

「築20年以内の中古マンションであれば、城北・城東エリアなど23区内で70㎡前後の物件が購入可能でしょう。築20年超なら、もう少し広い物件や、都心に近い物件も見つけられるかもしれません。最近の新築マンションより居室面積や収納スペースが広い物件が多いですし、リフォームすることで専有部の古さもそこまで気にならなくなるはずです。ただ、中古とはいえ、23区内だとやはりマンション自体の価格が高いため、そこまでリフォームにお金をかけられるわけではありません。リフォーム費用は50~100万円くらいを見込み、使用感が目立つ水まわりや、こだわりたい設備仕様などを厳選してリフォームするのがいいと思います」(平井さん)

想定物件
物件価格:4900~5000万円
間取り:3LDK
広さ:75平米
築年数:20年以内
場所:東京23区外側のエリア
最寄駅からの所要時間:徒歩15~20分
東京都新橋まで電車で約1時間

想定物件② 中古物件+リフォームであれば東京23区内のマンションも

想定物件③ 郊外ならリフォーム費をふんだんに使えて、満足度の高い家を実現可能

「郊外で4000~4500万円ほどの中古マンションであれば、リフォーム費用も500~1000万円とふんだんに使えて、間取りを含めたフルリフォームも可能です。築年数が古かったり、駅からの距離が遠くなればなるほど、安い物件や広い物件も探せるでしょう。また、郊外の大規模マンションの場合、物件によっては無料や格安で駐車場が使える、住居維持費が安いなどのメリットもあります」(平井さん)

想定物件
物件価格:4000~4500万円
間取り:3LDK~4LDK
広さ:90~100平米
築年数:10年
場所:東京都下、東京近隣3県
最寄駅からの所要時間:徒歩10~15分
東京都新橋まで電車で約1時間~1時間15分

想定物件③ 郊外ならリフォーム費をふんだんに使えて、満足度の高い家を実現可能

優先事項を決めた上で、物件探しをすることが大事

マンション購入は、生涯収支のシミュレーションによって算出される住宅予算をもとに考えることが重要だとわかりました。

「新築のブランドマンションを望むのか、中古マンションをリフォームして設備をグレードアップしたり、オリジナリティを出すことを望むのか、長期的なライフプランと併せて考え、理想と予算に合った住まいを購入するのがいいでしょう。限られた予算でリフォームする場合は、特に使用感や劣化が目立ちやすいトイレなどの水まわりをリフォームすることをおすすめします」(平井さん)

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